ふたりの人生で思うこと

子供のいない人生を選択し、その道を歩く過程で思うことを書いています。ある程度考えがまとまってからアップするので更新は相当遅いです。

授かる、授からない、それぞれ存在する

みんながみんな、同じ未来像を描くわけではないし、たとえ描いた未来像が誰かと同じだったとしても、その通りの人生を誰もが歩けるわけではない。


そうであるはずなのに、どこか耳にしたり、目にするのは、ある年齢になると”妊娠しました”、”出産しました”の報告であり、そして、メディアでよく取り上げられるのも、”○○を乗り越えて出産”というようなストーリーだったりもする。

こだまさんのTwitterで『妊活たまごクラブ 2019-2020』にこだまさんの記事が載ったと知った。私は”やっとこういう話も取り上げられるようになったんだ”と率直にうれしく思った。

↓こちらのツイートね。

 

 

 


ポイントなのは、子供を望む人が読む雑誌に、子供を持たない選択の記事が載ったということだ。本当、よくぞ載せてくださった!と思う。

 

なぜそう思うのかというと、子供を望みひたすら努力し続ける人にとって、自分が望む道、もしくは外野から望まれる道がたった一つしかない(と思わされる)状況は非常に苦しいことだということを自分は知ったから。

 

努力した分だけ、努力した分の結果が誰でも得られるのであればいいのだが、不妊治療の世界は必ずしもそうではない。いくら”昔に比べれば医療が進歩したから”と言ったところで、つらいことではあるが、妊娠率が100%で、流産率が0%になることはあり得ない。

 

”これから妊活頑張ります!”という感じの初期段階だったら自分の望むストーリーが耳に入ることで救われたりモチベーションがあがることもあるだろう。ただ、自分の望む結果がなかなか得られない状況になればなるほど、”○○を乗り越えて出産”というニュースばかりが耳に入れば、それは苦しくもなる。なんで自分だけ?みたいな感情が湧き上がってもおかしくはない。


また、その苦しみをどこかでポロッとこぼせば、”不妊治療を辞めたら妊娠した人だっているよ!”なんて言葉を頂戴してしまったりもする。
もちろん”良かれと思って”の言葉なのだろうが、授かる人も授からない人も確実にそれぞれ存在するんだよ。

 

もっと言えば、不妊治療を辞めたらそれこそ絶対に授からないと本人が知ってる場合もある。チームゼロで回収できた夫婦がまさにこのパターン。自然妊娠が不可能なんだから顕微授精をしなければ授かるわけがないと本人たちは知ってる。一縷の望みをかけて顕微授精に進むが、だからといって続けても授かる保証なんてどこにもない。だからこそ苦しいわけだが、そういう人に”不妊治療を辞めたら妊娠した人だっているよ!”なんて言ってもまったく的外れな会話でしかないんだよね。

 

(1から10まですべての背景を説明できればこういうすれ違いは防げるんだろうが、不妊治療という超絶プライベートなことをだれでもかれでもオープンに語れるわけがない。だからこういう的外れな会話が起きてしまうということは補足しておきたい。)

 

そんなストーリーを目の前の出来事として私が想像できてしまうのは私自身がチームゼロの世界を知ったからだ。でも、”結婚=子供”とナチュラルに思い込んでる世界に住む人にとっては”まったく見当がつかない話”でしかないと思う。

 

だから、”道は一つではない”という現実がもっとメディアでも取り上げられるようになればいいなと思う。

 

ハイヒール・リンゴさんの記事も参考になる。

こちら↓

www.daily.co.jp

 

私も不妊治療を長く続けて、結局子供はできなかった。実際、不妊治療をしても子供を授からない人も多いんです。だけどマスコミは、取り上げず、長い不妊治療の末に子供が生まれた話を扱いがち。「幸せな話」という結論ありきになってしまっている。

まったくそう思う。

 

また、こちらのくどうみやこさんの記事も参考になる↓
『「40歳で生みました」という報道の功罪』と『「諦め方」の支援が絶対的に足りていない』というのはまったくその通りだと思う。

 

aria.nikkei.com


 


 

不妊治療がすべて終結して数年経って思うことは、

不妊治療を頑張りたい人は頑張ればいいし、自然に授かりたいと思う人はそれでいいと思う、そして、不妊治療を頑張っていたとしても、途中で区切りをつけやすい環境になればいいな、ということだ。

 

今の私はそう思ってる。ただ、いわゆるみんなから望まれるような”サクセスストーリー”がクローズアップされる状況は、なかなか途中で区切りをつけやすい環境とは言えないんだろうなと思う。


だからこそ、100人いれば100通りの道があることがもっと広まればいいなと思う。